アメリカ・ロボット手術研修記

このエントリーをはてなブックマークに追加
[`evernote` not found]

ロボット外科医の堀江重郎が2012年1-3月にアメリカのトップ病院でロボット手術の研修をしてきました。

Stanford University Hospital

スタンフォード大学病院は、サンフランシスコ近郊のシリコンバレーと呼ばれる地域にある病院です。特に産学連携が盛んで新しい医療技術が開発されることで有名です。ダヴィンチ手術もこのシリコンバレーで開発されました。

膀胱癌の膀胱全摘手術世界最速の外科医 DR GONZALDOと

スタンフォードの患者さんの声

手術場の風景

 

University of Pennsylvania Pennsylvania Presbyterian HospitalおよびPennsylvania Hospital

ペンシルベニア大学は全米でハーバードに次ぐ評価を受けている、日本の京都大学のような大学です。またPennsylvania Hospitalは全米最古の病院で、1773年以降のレジデントの名前がすべて院内に掲示されています。Presbyterian Hospitalは前立腺がんの、Pennsylvania Hospitalは腎臓がんのロボット手術が有名で、Presbyterian Hospitalでは一人の泌尿器科医が2つの手術室を使い、1日5件の前立腺がんのロボット手術を週2日行っていました。Pennsylvania Hospitalでも30代の医師がチーフとして1日3件のロボット手術を行っていました。

ロボット手術のメリットは習熟すると手術時間が短く、手術室を効率的に利用できるところにある。ロボット手術をはじめたのはアメリカのインド人であり、早くから指導を受けたものはインド人や韓国系、アジア系アメリカ人が多い。アメリカは実力主義で人種に関わらず新しい技術をマスターしたものが患者へ最高のケアをすることができることが印象的でした。

Dr David Lee 前立腺全摘手術を3000例しています。

歴代の研修医のプレート

腎臓手術の若き天才Dr Eunと彼はアメリカで最初の、たった一つのおなかの穴から腎臓を再検する手術に成功しました。

Temple Surgeon Performs Nation’s First Robotic-Assisted Repair of Kidney Obstruction Using System Specifically Designed to Operate through Single, Small Incision

New Jersey Cancer Institute Hospital

この病院はアメリカの4つのがんセンター(ほかはメモリアル・スローンケタリング、MDアンダーソン、Fox-Chase)の一つであり、臨床とともに研究も盛んで、日本の国立がんセンターを大きくしたような病院です。また州立の医科大学 (New Jersey Medical School) の大学病院が隣接しています。ここでは前立腺がんの手術研修およびフォローアップ、がん臨床疫学の共同研究の打ち合わせを行いました。

DDrrCornell New York Presbyterian Hospital(左)
Dr Issac Kimと(右)

この病院は従来New York Hospitalとしてニューヨークで最も高級な病院の一つであり、コロンビア大学とコーネル大学の両方の附属病院となっています。世界の富豪から地域住民まで幅広いニーズにこたえているのが特徴です。近接してメモリアル・スローンケタリング病院、マウントサイナイ病院などの大病院があり、激しくしのぎを削っています。しかし病院自体は古く、富豪層の病棟以外はかなりくたびれた感じでした。帝京大学病院と比べると全米屈指の病院と言えどもだいぶ見劣りがしました。

ここで、世界のナンバーワンの前立腺がんのロボット外科医にマンツーマンで手術、回診、外来の指導を受けました。手術は週4日1日3-4例と多く、手術のテクニックそのものは驚くほどではないが、ロボット手術で得られる視野での手術解剖を確立した先生だけに、がんの治療成績が抜群に良い。ちなみに海外から来て手術を受けると医師の手術料が200万円、病院1泊で300万円の支払いとなっていたのには驚きました。

Dr Tewariは8000例のダヴィンチ前立腺全摘手術経験があります

彼のチームのホームページです
http://www.nycrobotics.com/

University of Washington Hospital (Seattle)

シアトルはスターバックス発祥の地です。この病院はあまり日本では知られていないものの、大学全体としては意外なことにアメリカでハーバードについで科研費取得が2位の大学だそうです。大学病院は訪問した病院の中で最も新しく、患者のサービスがきわめてよい。ボランティアがスムーズに病院のサポートを行っている。(患者のためのティールーム、夜に付き添いや手術を待っている患者のための軽食サービスなどもある)泌尿器科では前立腺がん、腎臓がんの手術を研修しました。手術室は30であるが、病床数は300床と少なく、手術を受けた患者の多くは翌日退院します。ここではロボット手術が泌尿器科以外にも婦人科、心臓外科、外科、耳鼻咽喉科、形成外科など日常的に行われているのを目の当たりにしました。